2020/05/20

Louboutinとの馴初め



私が初めて「ルブタン」という言葉を
耳にしたのは今から十数年前
食事会か何かの帰り道に
友人の一人が私の足元を見て



「それって、もしかしてルブタン!?」


と聞いてきた時である


私は「ルブタン」が一体何なのかすら
分からず、一瞬戸惑ったのだけれど
状況から判断して、恐らく高級な靴の
ブランドか何かだろうと思い



「そんないいものじゃないよ」



とだけ答えて話をそらした



後日、「ルブタン」とは何なのかを調べ
なぜ友人がそのような質問をしたのか
納得がいった



その日、私が履いていた靴は

真っ赤なアウト・ソールに
高くて細いヒールだったのである
ただ、その靴自体はとても安価な物で
「ルブタン」とは全くの別物だった


余談だけれど、今思えば、その当時の私は
「ルブタン」を知らなかったので
何も考えずにその靴を買ったのだけれど
もしかしたら紛い物だったのかもしれない


何れにしても「ルブタン」という靴は
デザインの美しさ、ヒールの高さや細さ
そして価格と全てが自分には分不相応で
今後も縁はないだろうとそれ以上
考えることはなかった


そんな私が、再び「ルブタン」と
巡り会うことになったのは
ASAMIさんのBlogがきっかけである


ASAMIさんが渡仏されてから、直接の
やり取りこそ殆ど無かったのだけれど
私の中では何か特別な存在であり
ふと思い出してはBlogを拝見していた


そこで度々綴られていた「ルブタン」の魅力に
最初は「やはり良い靴は違うのだろうな」程度に
思っていたのが、気が付かないうちに魅了され
いつか一度履いてみたいと思うようになっていた


それと同時に「ハイヒールの哲学」への思いも
募っていたのだけれど、まだ覚悟出来る程ではなく
そうしているうちに「ルブタン」への思いが
先に溢れ、去年の秋に先走って手に入れてしまった


正しい歩き方も分からず
レッスンを受けることさえ
考えていなかったのにである


さすがにこれには自分でも苦笑いだった


ただ、それくらい
「ルブタン」とはどんな物なのか
実際に試してみたかったのである


そして初めて足を入れた「ルブタン」は
その見た目から想像していたよりも
はるかに心地良かった


何より、自分の脚が美しく見え
それだけで心が弾んだ


ただそれは、鏡の前で立っている時だけで
現実は厳しく、そこから歩みを進めることは難しく
履いて外に出るなんてことはとても考えられなかった


その頃から私の中の
「ハイヒールの哲学」への思いが
加速度的に増していった